東久留米「九条の会」14周年のつどい


☆東久留米「九条の会」14周年のつどい

日時:10月26日(土)13:40開演(開場13:20)

場所:成美教育文化会館グリーンホール
講演:金子勝 立教大学大学院特任教授 (経済学者)
「どう立て直す、くらしと社会」―平成経済 衰退の本質―

 チラシPDFはこちらから

協力券 500円(一般) 障がい者・学生は無料

協力券取り扱い:東久留米「九条の会」事務局・各地域九条の会・成美教育文化会館・バオバブ喫茶(東久留米生涯学習センター内)・東久留米市 市民プラザ・各地域センター・喫茶アコルデ・證文堂滝山店


参加者 アンケートはこちらのページ


レジュメ
アベノミクスの真実   金子 勝

(1)破綻するアベノミクス

1.インフレターゲット論の破綻(物価目標の未達成:永遠のゼロ)

*日銀「生活意識に関するアンケート」

2.出口なき"ネズミ講"

3.限界に達してきた金融緩和


(2)中央銀行の死

1.20年債もマイナス金利→銀行経営圧迫

 *日銀:金融システムレポート

2.金融緩和政策とバブル

3.日銀の債務超過の危険

 *国債マイナス金利、75%のETF

4.政策手段の喪失


(3)「失われた30年」

1997年の金融危機以降、衰退が続く(GDP成長率と財政赤字)

1.賃金と家計消費

2.非正規雇用

3.世帯所得の中央値(貧困線)

4.生産年齢人口

5.家族の解体


(4)アベノミクス:6つの大罪

1.産業の衰退が止まらない

2.貿易赤字の定着

3.実質賃金と実質家計消費の減少  *格差の固定化

4.地域衰退の加速

5.地銀・信金危機とバブル

6.日銀信用の喪失と財政赤字


(6)世界は壊れそうだ

1.産業技術の大転換期:エネルギーと情報通信そして国家戦略

2.タリフマンのトランプによる関税戦争と金利引き下げ=通貨戦争

→世界市場の分断ブロック化とデストピア

3.合意なきブレクジット

4.欧州で眠る金融危機 *ドイツ銀行、イタリア財政危機

5.イラン、ベネズエラ(米国=産油国化)、サウジとUAEとイエメン内戦


新しい日本を創るために必要なこと

(7)社会基盤としての公正なルール

1.参議院で与野党逆転して、国会に特別委員会を設け、証人喚問を実現し、森友・加計・ペジー問題を解明する。

2.国会事故調査委員会、政府事故調査委員会などの報告書を出発点にして、福島原発事故の原因究明を行う。

3.内閣人事局の人事権は事務次官など少数にとどめる。

4.特定秘密保護法・共謀罪廃止とともに、放送法を改正し、NHKの公共放送化を実現する。


(8)電力改革を突破口にして:電気代ゼロの社会を実現する

1.ゾンビ企業東京電力を民事再生にかける。株主責任、銀行の貸し手責任、資産および新会社の株式売却益を賠償費用へ充当したうえで、国の責任を明確化する。

2.核燃料サイクルを廃止し、再処理料金を活用する。

3.原発ゼロ基本法案を通過させ、電力会社については公的資金を注入し、原発を切り離す。その際、経営責任・監督責任の明確化、国民負担の最小化、雇用の維持の3原則を遵守する。

4.国は株主として発電会社と送電会社に所有権分離する。

5.電力広域的運営機関、電力取引監視等委員会(2016年4月に電力・ガス取引監視等委員会に改称)に関して、人事について国会承認を必要とする独立機関とする。と同時に、徹底した情報公開を義務づける。

6.送電会社には、地域に設立された再生可能エネルギーの中小電力会社の優先接続を義務づける。


(9)産業戦略を創る

1.経済産業省の業界利益追求型体質を解体する。

2.エネルギー転換、情報通信技術、バイオ医薬、電気自動車と自動運転など先端産業に関して産業戦略を策定する。

3.研究開発のために、企業横断的・研究機関横断的なオープンプラットフォームを作るとともに、若手研究者・技術者の育成と活躍の場を提供する。

4.情報公開と決定プロセスの徹底的な透明性、公正なルールを保証する。

5.国立大学予算の削減を止め、持続的に財政資金でイノベーション研究開発投資を支援する。


(10)地域分散ネットワーク型の社会:人々が参加し経済を創る

1.エネルギー、福祉、食と農を軸に、地域住民が決定に参加する地域分散ネットワーク型社会(ボトムアップ型の経済民主主義)をめざす。

2.環境と安全基準を強化する。そして「6次産業化」と「エネルギー兼業」を軸に「儲かる農業」にしていく。

3.大型貿易協定に対して、戸別所得補償制度の充実を図る。

4.医療・介護・教育・保育・貧困対策など対人社会サービス(現物給付)の充実を図る。医療・介護供給機関をネットワーク化しつつ「かかりつけ医」ないし「ケースワーカー」が個々人に寄り添う体制を作る。同時に、当事者たちが決定に参加できる権利を保障する。それによって、地域からダイバーシティを尊重する社会を創出する。

5.財源と権限の地方へ移譲する。それによって、地域の生活圏に係わることは、地域の住民が決定する社会に変革していく。


(11)生きていける生活保障

1.最低賃金引き上げ、男女雇用差別禁止法を実現する。

2.持ち家重視の政策から空き家空き地対策を重視して貸家住宅給付を充実する

3.格差の固定化を防ぐために教育費の無償化をめざす。

4.税による最低保証年金の充実を図る


(12)財源をどうするか

1.「安倍・黒田勘定」を設け、借換債について超長期債を発行して事実上「凍結」する。

2.F35,イージスアショアを凍結するとともに、コンクリートから人へ予算配分を変える。

3.法人税減税、軽減税率、ポイント還元に税収を回す消費税増税は間違い。全額社会保障へ。

4.法人税の課税ベース拡大と環境税増税

5.金融所得課税強化か内部留保課税か