「戦争法」と憲法 金子勝立正大学法学部名誉教授


東久留米「九条の会」学習会

「戦争法」と 憲法

講 師:金子 勝 さん(立正大学法学部名誉教授)

日にち:2015年11月29日(日)

時 間:18:30(開場は30分前)〜20:30

場 所:東久留米市民プラザホール

参加費:300円(資料代)

忘れもしない9月19日未明、圧倒的多数の国民の反対の声を無視。
ほとんどの憲法学者が違憲だと言っている「戦争法」の強行採決が行われました。
民主主義の基本である立憲主義が危機にさらされています。
「違憲でも法案が通れば憲法が後からついてくる。」「しばらくすれば関心がなくなるだろう。」
そんなこと言わせるわけにはいきません。
廃止をめざし、あきらめないで、これからが始まり。
「戦争法」(安保法制)のどこが問題なのか、これから何ができるのか。
立正大学名誉教授の金子勝さんをお迎えして、お話をうかがいます。
東久留米「九条の会」では2回目の登壇。
ぜひご参加ください。                  学習会「戦争法と憲法」チラシPDF


講演要旨

11月28日、東久留米「九条の会」主催で「戦争法と憲法」の学習会が開かれました。
 講師は立正大学名誉教授の金子勝さん。内容の一部を紹介します。

戦争法が生まれた背景
 第二次世界大戦は1939年5月1日ドイツのヒットラーがポーランドを侵略したことから始まり、終わったのは日本の降伏文書調印1945年9月2日。第二次世界大戦終了から今日まで、日本は憲法9条によって戦争しない国でした。
 自民党、公明党は日本が戦争しなかったのは日米安保条約があったからだというんです。そう思っている人もあります。日米安保というのはアメリカが戦争するときに日本の自衛隊を連れて行って一緒に戦争させるために作ったんです。。日米安保があるのになぜ戦争しなかったかといえば、憲法9条があって、国民が政府に戦争させなかったからです。
 アメリカは日本国憲法を作ったときは日本を二度と戦争しない国にするため「九条」を作ったんです。 でもその態度は三年しか続かなかった。なぜかというと1947年12月末頃、中国内戦で中国共産党軍が勝利することが分かったから、アメリカは対日方針を変えたわけです。1948年1月6日陸軍長官ロイヤルが「日本をアジアの反共軍事基地にする」との声明を出しました。そして自衛隊が1950年1月に警察予備隊として作られました。52年に保安隊になり、54年に自衛隊になった。自衛隊が戦争できないのでアメリカは1965年に始まったベトナム戦争の時は、日本の基地を使用して、ベトナムに出撃して、ベトナム人を殺しに行ったんです。
 その後、自衛隊が力をつけてくると、アフガニスタン戦争が始まったとき、インド洋でアメリカ、イギリス、ドイツ、カナダ軍に油をタダで提供しました。イラク戦争ではサマワに派遣。アメリカなどへの、輸送、補給などはやれたが戦争はできませんでした。9条があるためです。
 これを安倍自民公明政権がひっくり返しました。クーデターともいえるものです。これでアメリカとともに、戦争できるようにしましたが、まだ憲法9条が残っているので、憲法改正して9条を葬ろうというのが自公の最大の政治課題になったわけです。 自民公明は来年の参議院選挙で勝って参議院でも三分の二以上で憲法改悪することを公言しています。
安部内閣の憲法クーデター
 私は安倍内閣のやったのは憲法クーデターと呼んでいます。
 昨年の7月、日本国憲法の下で集団的自衛権を使うことができるという閣議決定をしました。これまで内閣は憲法九条のもと、集団的自衛権は使えないとして来た解釈をひっくり返してしまったんです。ほかの国の軍隊が攻撃を受けたからと言って、自分の国が攻められていないのに、他の国を攻めるのは侵略です。集団的自衛権行使というのは侵略です。憲法九条をどんなにひねくり返しても侵略はできません。憲法九条を壊すクーデターというのはそのことです。
 内閣には憲法改正の権限はありません。憲法を変えられるのは国会と国民だけです。内閣を含む公務員は99条で憲法尊重擁護義務があるとなっています。国会議員は憲法改正発議ができますが、憲法を悪くすることはできないんです。憲法尊重擁護義務に反するからです。二つ目が9月19日、多くの国民が反対し、国会を取り囲む中、強行された採決です。
 このように憲法が蹂躙されたとき、国民はどうするべきか。憲法12条に書いてあります。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は国民の不断の努力によって保持しなければならない」こういう権利を抵抗権と言います。憲法に反する行為を行って国民の自由や権利を脅かしたら、その政府は憲法上正当性がないから、国民は抵抗権で倒す権利がある。憲法に基づく政府は国民に民主主義と基本的人権を保障するためにあるのだから、それを自ら放棄したらその政府に正当性はありません。このような安倍政権には退陣してもらうしかありません。(以下略)